2012.06.14

稽古について考える その三

考えながら稽古をすることが大切であると二回にわたって書いてきたが、ここで重要なのが想像力である。

仮の敵の動きを想像しながら、自分の動きをそれに合わせて行うのも想像力ならば、廣原先生の動きを道場やビデオでじっくり見て、自分の網膜にしっかり焼き付けておき、自分が動きながら稽古をするときに、頭の中で自分の動きに廣原先生の動きを重ねながら行うのも想像力である。

スポーツの世界では、ずいぶん以前からイメージトレーニングの大切さは認知されている。ウエイトトレーニングの世界でも、自分がどの部分を鍛えているか意識しながら行う方が効果的と言われている。競技スポーツでは自分が勝った姿を思い描きながら練習することの有効性も説かれている。
これは武道の世界でも同じである。

ただ漠然と稽古するのではなく、今自分が何のために、何を目的として、どういう理由でその稽古を行っているかを考えるのである。

何も考えずにがむしゃらに稽古をするのもいいだろう。しかし、それではある程度の進歩の後に必ず壁に突き当たる。そこそこ強くはなれても、所詮そこまでである。

心体育道の稽古において言うならば、仮に何も考えずに稽古を行って強くなれたとしても、それは心体育道の技術のおかげではなく、もともと持っていた自分自身の能力のおかげかもしれないし、それまで経験してきた武術、格闘術のおかげかもしれない。
それは心体育道をやらなくてもそれぞれの個人がすでに持っていた強さでしかないし、その強さには限界がある。

「稽古中は常にそれぞれの技の意味を考える」ということの大切さを理解してほしい。もちろんこれは稽古中だけとは限らない。実際に体を動かす時間のない時でも、頭の中でシュミレーションしながら脳内稽古を行うだけでもいいのである。

それに関しては実に興味深い実験結果がある。それはまた次回に。