2015.09.24

≪武術家としての減量≫

ここ2〜3年、ローカーボンダイエットをあまりストイックにならずに続けている。

 

たまに厳しめに行うこともあるが、普段はまあ概ねゆるい感じである。
それでも結果は大したもので、92kgあった体重が現在78〜79kgで落ち着いているし、体脂肪率も12〜16%の間を行ったり来たりしている。もともとロサンゼルスで廣原先生の家に居候させていただいていた時は100kgを越えていたのでずいぶんの変わりようだ。

 

ところで私の減量について、よく「空手では体重があった方が有利なのではないか?」といった質問をしてくる方がいる。
答えは〇でもあるが✕でもある。

 

ルールの下で戦うフルコンタクト空手のようなスポーツ空手において体重が重いのは断然有利である。それゆえ私は意識して100kgの体重を維持していた。当時ロサンゼルスの道場には身長190cm前後、体重100kg超の道場生が多数在籍していた。その道場生たちの攻撃に対処するためでもあった。体で相手の攻撃を受けとめ、体全体の圧力で攻撃をはね返す。スポーツ空手ならではの戦い方である。

 

しかし、命のやり取りまで含めた武術の世界ではその考え方は全く通用しない。
廣原先生の名言にあるように「撃たれ強い者はいても、刺され強い者はいない」のである。
体で相手の攻撃を受け止めるということは、ナイフを持った相手から何度でも刺されてしまうということと同じ意味を持つ。一度でも刺されてしまえばもう終わりである。こちらの動きは止まってしまう。

 

相手の動きに的確に反応し、目や金的、首など相手の弱い部分に的確に反撃を加える。そのためには身軽な体が必要になる。100kg時代の私と、現在の私が戦ったら、100kgの私は簡単に倒されてしまうだろう。

 

誤解のないように言っておくが、ここでいう減量とは痩せるということではない。必要な筋力や力を保持したままで、無駄な脂肪をそぎ落とし、健康な体を作るということである。私自身、もう少し体重を落とした方がいいのではと今も感じている。

 

武道家として向上していくために必要なことは、道場での稽古だけではない。

強さを追い求めた上での減量というものある。