結婚

話は前後するが、先々週の杖の撮影の前日、福岡の弟子、山本君の結婚パーティが開かれた。その席で新婦が私に「結婚できたのは心体育道に入門したからなんですよ」と、唐突に話し始めた。

心体育道は喫煙者は入門できない。山本君はそれを知らずに稽古見学に来て、稽古終了と同時に「入門させてください」とその場で入門誓約書に記入を始めた。だが、1年半ほど前のその当時、彼は喫煙者であった。記入をしている彼に喫煙者は入門できない旨を伝えると

「えっ」と驚いた表情を見せ、動きを止めたが、決意したように

「ええ機会や」

と独り言をつぶやき、記入を続けた。

「煙草をやめてから性格が変わったんですよ」と新婦は話を続けた。[この人、禁煙するまで、すごいいやな性格だったんですけど、禁煙してからすごく性格が良くなって…」

もともと知り合いだった二人は、結局は彼の禁煙がきっかけで付き合い始め、結婚に至った。確かにアルコールやニコチン、カフェインなど嗜好品に含まれる多くは刺激物でもある。しかし、煙草をやめて性格が変わったというのは初耳だった。まあ、よくよく考えてみれば、さもありなんと思うことでもあるが。

実は、まだ喫煙者だった当時の山本君を、私は見学前から知っていた。しかし新婦が言うような、いやな性格の持ち主ではなく、明るい、性格のいい男だと、私自身は感じていたことを、彼の名誉のために付け加えておく。




撮影

先週6月11日の14時より、綾瀬の東京武道館で廣原先生による「杖」のビデオ撮影がおこなわれました。このビデオは9月頃クエストより発売予定で、心体育道独自の動きによる、今までにない杖のビデオになることと思います。

今回も菅原さんが廣原先生の相手役として広島より上京。満身創痍で頑張りました。空手着の下にはお手製の竹を編んだ防具を着込み、万全の足軽スタイルで臨みましたが、撮影を終えた後に見ると、体中アザだらけ。毎度のことですが、本当にお疲れ様でした。

夜はもちろん大宴会。廣原先生が宿泊したホテルのある神田で、撮影を手伝ってくれた誠流武会の山口さん、吉竹君や、他の道場生、クエストの藍原さん、芦原会館のサラリーマン空手家さんらとおおいに盛り上がりました。

結局、私は神田で3時間ほど仮眠を取った後、羽田に移動してラウンジでシャワーを浴び、始発便で福岡移動という強行軍になってしまいました…。




押忍

空手の世界では返事は「押忍」である。

稽古中、指導者の言葉に対して常に「押忍」で応える。不思議なことだが、この稽古中の「押忍」の声の大きさと、技術の向上のスピードはほぼ比例している。指導者の声に素早く大きな声で「押忍」と返事をする道場生は上達も早い。

入門したばかりの弟子は、技術では先輩に太刀打ちできないが、声の大きさだけは勝つことができる。たかが返事のような気がするが、実は大きな意味を持っている。

護身術(格闘技はすべてそうであるが)は相手に対する反応行動である。相手の行動に的確に素早く反応することが大切なのだが、何も分からない入門したての弟子も、大きな声で素早く反応することで、自然とこの反応行動の稽古を積むこととなる。

武道、特に護身術は合理的でなくてはならない。すべての行動には必ず意味があるのである。